光学用語ABC

A

B

C

  • カールツァイスアドバンストオプティクスシステム(AOS)

    最高の像質と性能を備えた光学系システムを構築するために必要なガラスは、鉛、ヒ素、またはその他の金属を添加することでしかその光学特性を得ることができませんでした。これらの添加物は比重が大きいため、双眼鏡、中でも倍率と薄暮性能が高いモデルはそれ相応に重くなります。つまり、新しい解決策を見つける必要がありました。
    カールツァイス財団の傘下にあり、世界最大の特殊ガラスメーカーであるSchott Glas(ショット・ガラス)社(Mainz(マインツ)は、ツァイスの光学系科学者との長年にわたる緊密な協力の結果、ヒ素と鉛を使用せずに、最高級の像質のシステムに必要な光学特性を持つガラスを製造することに成功しました。Schott(ショット)の新しいガラスは驚くほど軽く、製造過程で環境汚染物質を廃棄する必要もありません。この成功によってカールツァイスのアドバンストオプティクスシステム(AOS)の基礎が築かれ、卓越した品質の新しい光学系システムが生まれました。

  • カールツァイスT*マルチコーティング

    レンズ素子/プリズムの単層コーティングによって改善された像質は、層を何層にも蒸着することでさらに向上しました。ほぼすべてのツァイス双眼鏡およびライフルスコープにはツァイスT*マルチコーティング(T*)が施され、スペクトル領域全体にわたって最大の透過率とコントラストを実現しています。なお、該当するモデルにはT*のマークが付けられています。

  • 最短合焦距離

    合焦距離の短い双眼鏡によって、観察者にまったく新しい次元が展開されます。動物および自然愛好家はきわめて至近距離で蝶やその他の昆虫を観察できます。通常は対物レンズを100mのレンジに合わせて調節するライフルスコープの場合、「最短合焦距離」(被写界深度)は使用する倍率によって異なります。変倍式スコープでは、低倍率に切り替えて被写界深度を増大させることができます。

  • コントラスト(変調伝達関数、MTF)

    像質を決定づける重要な要因は、コントラスト描写です。なぜなら、それによって対象物の細部まで認識できるかどうかが決まるからです。コントラスト描写は「コントラスト伝達関数」すなわち「変調伝達関数」(MTF)で測定され、その光学系システムが現在の明るさの状態(コントラスト)をどれだけ正確に再現できるかを示します。ここで非常に重要な点は、光学系システムは大きい対象物の細部だけを高コントラストにするのではないということです。こうした理由から、薄暮時の使用にも対応するカールツァイスの双眼鏡とライフルスコープは、人間の目の解像力の限界においても20%以上のコントラストが得られるよう設計されています。

D

E

  • アイピース

    双眼鏡は、標準アイピースと眼鏡装用者用のハイアイポイント型アイピースの2種類に分類されます。

    標準アイピースはPD、すなわち射出瞳からアイピースの最終レンズの頂点までの距離が約9mmで、射出瞳を観察者の眼の瞳孔に合わせることができます。これにより、観察者は視界全体を見渡すことができます。

    眼鏡装用者用ハイアイポイント型アイピースのPDは、通常は最小15mm、最大20mmで、眼鏡装用者は視界全体を見渡すことができます。

    注記:眼鏡装用者用ハイアイポイント型アイピースの発明は1958年、Horst Köhler(ホルスト・ケーラー)によってツァイス8 x 30B双眼鏡で市場に投入されました。

    標準アイピースと眼鏡装用者用のハイアイポイント型アイピースのいずれも、標準的な視界と広視界(WW)で使用することができます。一般的に、接眼側の視界(見掛け視界)は、広視界型アイピースの視界である60°と同じかそれよりも広くなります(見掛け視界= FoVm@1000mx倍率/ 17.5)。

    ちなみに広視界型アイピースは1919年、カールツァイスのHeinrich Erfle(ハインリッヒ・エルフレ)によって発明されました。

  • 射出瞳

    射出瞳(双眼鏡/ライフルスコープのアイピース内に見える明るい円)は、薄暮での観察において重要な役割を果たします。射出瞳の大きさによって、眼に写る像の明るさが決まるからです。ただしこれは、眼の瞳孔が射出瞳と同じかそれよりも大きいことが前提となります。

    射出瞳を求めるには、対物レンズ径を倍率で割り算します。例えば8x56双眼鏡の場合、射出瞳径は7mmになります。ちなみに、これは人間の眼の最大瞳孔径に相当します。

    注:射出瞳は常に円形で、均等な明るさがなければなりません。影が見える場合は像質が低いことを示しています。

F

  • 視界

    視界とは、1,000m離れた場所で双眼鏡を通して見える領域の幅を指します。ライフルスコープの場合は100mの距離を対象とします。視界は円形をしているので、「視界直径」という言葉も使われます。一般に、倍率が高くなるほど視界は狭くなります。特殊な広視界型アイピース(Ww)を使用すると、双眼鏡の視界を広げることができます。

  • フォーカスメカニズム

    双眼鏡はさまざまな距離で焦点を合わせる必要があるため、フォーカスメカニズムが必要になります。いわゆる「固定焦点双眼鏡」は、このような調節機能がないのでお勧めできません。
    当社ではフォーカスメカニズムを以下のように分類しています。

    • 個別アイピースフォーカス(IF式):主として低倍率(7~8倍)の双眼鏡に搭載され、マリンスポーツや自然愛好家に使用されます。IF式は両方のアイピースの焦点を別々に調節する必要があります。IF式の双眼鏡は、観察距離が頻繁かつ急に変化する用途には適していません。*
    • センターフォーカス:中央のドライブホイールを使用して、一度に両方の鏡筒の焦点を合わせます。双眼鏡の設計に応じて、左右のアイピース(センターホイールによるアイピースフォーカス)、左右の対物レンズ(センターホイールによる対物レンズフォーカス)、または内部のレンズ素子(内部フォーカス)が移動します。ここで重要な点は、これらの双眼鏡では、左眼と右眼の視力の違いを補正するために、通常は右側のアイピースで視度も調節できることです。

     

    *説明:「一度焦点を合わせただけでその像の焦点をずっと維持する」には、大きな制約があります。観察者が高齢になるほど、その制約は大きくなります。

  • 菌類

    光学機器にとって菌類の増殖は大敵です。菌類が機器の内部に広がると、曇りが取れなくなり、結果として光学系が破損します。カールツァイスのすべての双眼鏡とライフルスコープには、菌類の増殖を防ぐ保護機構が内蔵されています。とはいえ、菌類の増殖を防ぐために、特に熱帯地方では、光学機器を乾燥した涼しい場所で保管することをお勧めします。

G

  • ガリレオ式望遠鏡

    ガリレオ式望遠鏡(天文学者Galileo Galilei(ガリレオ・ガリレイ)(1564~1642)にちなんだ名称)では、対物レンズに凸レンズ、接眼レンズに凹レンズが採用されています。ガリレオ式望遠鏡では正立の、文字通り正しい像が得られます。ガリレオ式望遠鏡には、設計上の理由から中間像面がなく、射出瞳は接眼レンズにあります。したがって、眼鏡をかけてもかけなくても視界を確保できる眼鏡装着者用ハイアイポイント型アイピースは、この望遠鏡では使用できません。ガリレオ式望遠鏡は倍率が4倍に制限されるため、オペラグラスなどによく使用されます。
    ただし、カールツァイスのDiademオペラグラスは正立プリズムを使用した望遠鏡で、ケプラー式望遠鏡を基本にしています。

  • 明るさ

    明るさは、像の明るさの尺度です。明るさは「射出瞳径の2乗」として計算されます。例えば、10x40双眼鏡の明るさは16です。これは、薄暮における十分な像の明るさの最小値に相当します。8x56双眼鏡の場合、明るさは49です。比較:8x30双眼鏡の明るさは14.1です。したがって薄暮での観察には適していません。


    注:明るさは、多数あるパラメーターのうちの一つにすぎません。この数値は、像の明るさの決定要因である像質を表すものではありません。

H

  • ハイアイポイント型アイピース(B)、広視界型ハイアイポイント型アイピース(Ww)


    ハイアイポイント型アイピースを使用すると、眼鏡を装用してもしなくても視界全体を観察できます。カールツァイスが開発した特殊な光学設計によって、射出瞳は最終レンズの頂点から15mm以上離れた位置にあります。

    これにより、使用者は眼鏡を掛けていても自分の瞳孔を射出瞳に合わせることができます。ツァイスの双眼鏡では、以下の3つの方式を使用して必要なアイレリーフを確保しています。

    プッシュ-プル方式のアイカップ*
    回転式アイカップ*
    折り畳み式ラバーアイカップ

    眼鏡を掛けている場合は、アイカップを折り畳む、つまり平らにします。眼鏡を掛けていない場合は、アイカップを伸ばした状態で使用します。
    倍率を8倍とすると、1,000mでのハイアイポイント型アイピースの標準視界は110~115mです。広視界型ハイアイポイント型アイピースの視界は非常に広く、倍率を8倍とすると、1,000mで132~135mです。もちろん、ツァイス双眼鏡では眼鏡の装用/非装用に関係なくこの視界全体を見渡すことができます。このような利点があるため、ハイアイポイント型アイピースおよび広視界型ハイアイポイント型アイピースはカールツァイスのすべての双眼鏡に採用されています。
    注:ハイアイポイント型アイピースを実現しているのは、内部機構や折り畳み式アイカップではなく光学設計です。ラバーアイカップ付きアイピースの中には、公称視界のわずか50%しか見えないものも多数存在します。

    *Hensoldt(ヘンゾルト)社がこの調整可能なアイカップの特許を出願したのは、1954年にまで遡ります。これにより、ヘンゾルト社はきわめて初期の段階の双眼鏡開発で大きな役割を果たしました。

I

  • 手ブレ補正

    Zeiss Classic 20x60 T* Sの特徴は、ツァイス製品に初めて搭載された手ブレ補正システムです。

    このシステムによって手の揺れが補正されるので、20倍の倍率でも三脚なしで観察することができます。

  • 瞳孔間距離(PD)

    PDとは、観察者の片方の瞳孔中心からもう一方の瞳孔中心までの距離です。

    双眼鏡では、光学系の残存収差が最も小さくなるときに、光軸にまっすぐに沿って観察ができるよう、PDを注意深く設定することが重要です。

J

K

  • ケプラー式望遠鏡

    最も単純なケプラー式望遠鏡(天文学者Johannes Kepler(ヨハネス・ケプラー)(1571~1630)にちなんだ名称)は、対物レンズ用の凸レンズと接眼レンズ用の凸レンズで構成されています。対物レンズは、中間像面に上下左右が逆さまの像を作ります。ここに十字線グリッドを追加すると、距離を見積もったり、コンパスやレンジファインダーなどからデータを送信したりすることができます。ケプラー式望遠鏡では像の上下左右が逆さまになっているので、地上観察で使用するには正立系(プリズムまたはレンズ素子)が必要になります。現代の双眼鏡やライフルスコープは、すべてケプラー式望遠鏡です。

L

M

  • 倍率

    製品名の最初にある8xなどの数字は倍率を示しています。実際には、100m先にある物体が、裸眼で12.5mの距離から見ているように見えることを意味します。つまり、物体が8倍近く(1/8の距離)に見えるということです。

N

  • 窒素ガス封入(N2封入)

    光学機器には窒素ガスが封入されています。窒素は地球の大気の重量のうち76%を占めています。窒素ガスを封入することで水分の侵入を防ぎ、光学系内部が曇らないようにします。さらに、窒素ガスの封入によって、光学系を破損させる菌類の繁殖も防止できます。ただし窒素ガスの封入は、機器が適切に密閉され、気圧や気温の変化によって窒素が周囲に漏れない場合のみ効果を発揮します。

O

  • 対物レンズ径

    色のにじみを最小限に抑えるために、ツァイスは主として2種類の対物レンズを双眼鏡に使用しています。

    「スーパーアクロマート」タイプの対物レンズは、「フローライト系対物レンズ」、「ED」、「HD」、「EDX」とも呼ばれます。

    • アクロマートによって良好な色補正が可能ですが、特に白/黒のコントラストがはっきりしている場合は、視界の周辺部で若干の色のにじみが見られます(残存色収差)。
    • スーパーアクロマートは色の補正力が非常に高く、残存色収差はアクロマートの約半分しかありません。

  • 対物レンズ(アクロマート、スーパーアクロマート)

    製品名の2番目にある56などの数字は、対物レンズの直径をミリメートル単位で示しています。この数字は双眼鏡/ライフルスコープに入射する光の量を表します。倍率を8倍とすると、日中の観察には20mmの対物レンズ径で十分です。薄暮時は、双眼鏡に入射する光量を最適にするために、十分な大きさの対物レンズが必要です。これに対応できるのは大口径双眼鏡だけです。

P

  • PD

    PDは、射出瞳からアイピースの最終レンズの頂点までの距離です。


  • 位相差補正(Pコーティング)(P)

    ルーフプリズム式(アッベ・ケーニッヒおよびシュミット・ペチャン)双眼鏡では、干渉によって好ましくない光の分散が起こり、解像力が低下します。この現象は、特に高倍率で射出瞳が小さい場合によく見られます。

    カールツァイスルーフプリズム双眼鏡では、ルーフ面に誘電体の層を蒸着(Pコーティング)することで、こうした作用が補正され、コントラストと解像力が格段に向上します。ルーフプリズムを搭載したすべてのツァイス双眼鏡にはこの位相差補正コーティングが施され、解像力が大幅に向上しています。

  • プリズム

    4種類の反転プリズムが使用されており、これらのプリズムによってツァイス双眼鏡のデザインが決まります。

    1.ポロ1:鏡筒が短く幅広型の双眼鏡。7x50B/GAなど。2.ポロ2:単眼鏡および20x60 T* S双眼鏡に使用。3.シュミット・ペチャン:小型双眼鏡。カールツァイスのすべてのポケット双眼鏡など。4.アッベ・ケーニッヒ:鏡筒が長くスリムタイプの双眼鏡。Victory 8 x 56 B T*など。ペンチャンおよびアッベ・ケーニッヒには、ルーフプリズムという総称が使用されます。

Q

R

  • ラバー外装(GA)

    双眼鏡の鏡筒を覆うラバー外装は、主として表面の保護とノイズの緩和に使用されます。ラバー外装による双眼鏡の密閉性への効果はありません。

S

  • 密閉性(ISO標準)

    「防滴」と「防水」は区別されます。「防滴」とは、機器が雨にさらされた場合に、内部に水分が入り込まないことを意味します。「防水」はさらに高い密閉性を意味し、機器の内部と外部との空気の流れが遮断されている状態を指します。ここで重要な点は、環境試験に関するISO 9022-8規格に準拠した漏出試験が実施されていることです。カールツァイスでは、この規格を漏出試験だけでなく、冷間/熱などその他の環境試験にも適用しています。

    カールツァイスがDIN 58 386規格に準拠していることも注目すべき点です。この規格では「倍率」、「対物レンズ径」、および「視界」のパラメーターについて、仕様書(パンフレットなど)との間に最大5%の偏差が認められています。

  • スポッティングスコープ

    スポッティングスコープは、地上観察用の高倍率望遠鏡です。鏡筒を延長できる伸縮式の望遠鏡も多いですが、大多数の鏡筒は固定式です。スポッティングスコープとしては、直視および斜視型観察が可能なモデルが一般的です。
    Diascope 65 T* FLおよび85 T* FLスポッティングスコープのように、固定アイピースや変倍式アイピースのオプションを使用できるモデルもあります。

    ちなみにスポッティングスコープでは、スタンドの安定性や取り付けたビデオヘッドの可動性も、像質と同じくらい重要です。

  • 迷光

    迷光は、鏡筒、レンズエッジ、マウント部、その他の部品からの反射によって発生します。迷光が像に重なると、その像の明るさは著しく低下します。ツァイス双眼鏡およびライフルスコープでは、さまざまな対策や予防措置によって迷光が最小限に抑えられています。これらの予防措置では、使用するガラスタイプの厳選、鏡筒内面の特殊処理、レンズエッジの塗装のほか、特別な手順によるレンズとプリズムの取り付けや、迷光を2%未満(可能な場合)に抑える反転系を双眼鏡/ライフルスコープに採用するなど、さまざまな方法がとられています。

T

  • 透過率

    透過率とは、光学系を通り抜ける光の量を%単位で表したものです。透過率はできる限り高くすることが重要であり、カールツァイスの双眼鏡およびライフルスコープでは90%が標準値です。それに加えて、透過率の最大値が正しいスペクトル領域内で実現されることが、低光量な条件で使用される双眼鏡にとって重要な要素となります。薄暮時は青色に対する人間の眼の感度が上昇するため、日中に黄色またはピンク色を帯びていた像は、青色スペクトル領域での透過率が低くなります。このため、低光量な状態では細部を十分に認識することができません。

  • 薄暮係数/薄暮性能

    薄暮係数を使用して、光が弱い状態での双眼鏡の性能を比較することができます。薄暮係数を計算するには、まず倍率と対物レンズ径を掛け算し、その結果の平方根を求めます。7x42双眼鏡の薄暮係数は17.2で、これは薄暮で細部を十分に認識するための最小値です。8x56双眼鏡の場合、薄暮係数は21.2です。比較:一方、8x30双眼鏡の薄暮係数は15.5です。したがって、きわめて低光量な状態での観察には適していません。

    注:薄暮係数は、多数あるパラメーターのうちの一つにすぎません。この数値は、薄暮時における細部の視認性(薄暮性能)の決定要因である像質を表すものではありません。薄暮性能を決定づける主な要件は、正しいスペクトル領域で光透過率をできる限り高くすること、迷光をできる限り低く抑えること、コントラストと解像力をできる限り高くすることです。これらの要件がすべて同時に満たされた場合のみ、薄暮係数を双眼鏡観察における薄暮性能の基準として使用することができます。

U

V

W

X

Y

Z

このウェブサイト上ではクッキーを使用します。 クッキーは、ウェブサイトからあなたのコンピューター上で記憶されるテキストファイルではありません。クッキーは、広く普及しており、ページを最適化して表現し、改善する助けをします。私たちのページを利用することにより、あなたはこれを了承することを宣言します。 詳細