ユーサン精密株式会社

ZEISS METROTOM 1500 225kV 活用事例

ユーサン精密株式会社では、X線CT装置・ZEISS METROTOM 1500 225kVを始め、様々なカールツァイス製測定機を導入・活用することで、より精度の高い測定を実現させることに成功した。そこで、代表取締役社長 山本 直行氏を始め、第二工場長 岡 陽一郎氏、先行試作部 リーダー 西田 麻依氏、先行試作部 堀田 匡志氏に、その導入経緯や活用法、評価について詳しく伺った。

ユーサン精密株式会社の概要

自動車に搭載されるゴム、樹脂、プレス部品を製造する岡山県の金型メーカー

 ユーサン精密株式会社は、岡山県内にふたつの工場を構え、ガスケットと呼ばれる自動車部品の金型を製造している企業。自動車部品や建材の製造・販売をグローバルに展開する内山工業株式会社を主軸とした「ウチヤマグループ」の一員として、創業以来、グループ企業やクライアントからの多彩なニーズに応え続けてきた。
 近年では「金型製造だけに留まらず、最先端の独自技術向上のため、常に新しいものへの探究心を心がけています」と山本氏が語るように、さらなる技術躍進を目指して様々な取り組みにも果敢に挑戦している。
 METROTOM 1500 225kVが導入されているのは第二工場の測定室。正確な測定を行うため常に23度に保たれた室内には、PRISMOやDuramax、O-INSPECTといったカールツァイス製の測定機がずらりと並んでいる。「カールツァイス製の測定機を揃えている一番の理由は信頼性の高さです。やはり世界のカールツァイス製と言われるだけあって、測定精度が非常に高く、安心して使えます。」(山本氏)。

METROTOM 1500の導入経緯

非接触・非破壊での測定を目的にX線CT装置を購入

工場内に様々な測定機が導入されるようになったのは2013年。時代が進むにつれ、金型加工により高い精度が求められるようになってきたこと、また社内に金型の試作部門が出来たことが、その大きな理由だ。
試作部門では、金型から生産されたゴム製品の測定を何度も行うことになる。ゴム製品を歪みなく測定するには、非接触かつ非破壊での測定が必要不可欠だが、測定対象の形状がアンダーカットになっていた場合、非破壊で測定を行うことは、これまでの測定機では不可能だった。その問題を解決したのが、X線CT・ZEISS METROTOM 1500 225kVだ。「カールツァイスさんの事務所に置かれていたZEISS METROTOMを一目見て、その機能とフォルムのカッコ良さが気に入りました。その後、何度かゴム製品のサンプルを持ち込んではZEISS METROTOMで測定してもらって、満足いく精度で複雑な形状が測れると分かったため購入に踏み切りました。」(山本氏)。

代表取締役社長 山本 直行氏

第二工場 先行試作部 リーダー 西田 麻依氏

第二工場 先行試作部 堀田 匡志氏

METROTOM 1500の使い勝手

測定誤差なく非破壊で測定出来る点に満足

実際にMETROTOM 1500 225kVを運用してみたことで、現場サイドからはその使い勝手の良さに満足しているとの声が挙がってきた。その理由は主に次のふたつ。

<複雑な形状の製品を非破壊で測定可能>
「非破壊で測定出来るということは、測定サンプルがそのまま
残るということです。従来は、後から追加で測定したい箇所が出
て来た場合、もう1回サンプルを作ってもらっていましたが、
METROTOMのお陰で、その手間がなくなりました。」(西田氏)

<人による測定誤差がない>
「精密な測定を実現するためには本来、製品のカットや位置決め、各種設定、測定データとCADとの照らし合わせなど、ひとつ
ひとつの工程に熟練の技術が必要となります。しかしMETROTOM
なら、最初の条件決めこそある程度の技量は必要なものの、マニュ
アルに従えば誰がやっても同じ測定結果が出ます。測定に熟練の
技術が必要なくなったことで、測定ミスがなくなったうえ、単純
作業として誰にでも任せられるようになりました。今では海外か
ら来た技能実習生に任せたり、その技能実習生が新人にやり方を
教えたりしています」(堀田氏)

METROTOM 1500に対する評価

本来の用途以外の場面でも活躍することに

「一時期はほぼ毎日、METROTOMでの測定を行っていました。交換パーツのフィラメントもたくさん購入、交換しました」との山本氏の言葉通り、METROTOMは約10年に亘って測定現場の第一線で活躍し続けている。そんなユーサン精密に、評価のポイントを伺ったところ、次の2点が答えとして返ってきた。

<ミクロン単位にも対応した測定性能>
「金型によっては、どうしてもここの寸法はミクロン単位の精度が必要となる場合があります。そうした高い精度が要求された時も、カールツァイス製の測定機なら安心です。METROTOMも当然、その要件を十分に満たしてくれているので助かっています。」(岡氏)

<様々な用途で使いやすい>
「測定誤差がなく測りやすいため、他の測定機で測れる製品でも、あえてMETROTOMを使っている場合もあります。最近ではMETROTOMに入らない大きなサイズの製品も、一部分だけの測定なら、逆に小さくカットして測定するといった、これまでやって来なかったような新しい使い方もしています。」(堀田氏)

第二工場 工場長 岡 陽一郎氏

CALYPSOを使う様子

CALYPSOを活用して製品を確認している様子

汎用測定ソフトウェア・CALYPSOに対する評価

とっつきやすさと奥深さを兼ね備えた機能性の高さが魅力

ユーサン精密では、カールツァイスと東京精密が共同開発した汎用測定ソフトウェア・CALYPSO(カリプソ)を使って、製品の測定や評価を行っている。同社ではその使い勝手の良さについても高い評価を下している。
「とっつきやすく、すぐに操作を覚えられるだけでなく、習熟していくとかなりマニアックな測定まで出来る点が、CALYPSOの魅力です。それこそ幾何公差測定だろうがなんだろうが、精度高くデータを取得出来るのでありがたいですね。」(堀田氏)
「ちなみに弊社では、あるソフトメーカーさんとコラボして、CALYPSOから製品の検査表を自動出力するプログラムを作りました。お客様ごとに検査表のフォーマットは違いますが、CALYPSOを使えば各フォーマットで素早く出力出来ます。今ではCALYPSOにもそのソフトは搭載されていますが、開発当時はデータを転記するミス、フォーマットを作る手間など人的要因が多くありましたが、今はまったく無くなり誰でも使えるようになっています。精度の高さや操作性の統一だけでなく、そうした利便性の面でも、カールツァイス製の測定機とCALYPSOをセットで使っていくことに大きな利点を感じています。」(山本氏)

ユーサン精密の高品質な測定への試み

協業メーカーにも働きかけて統一した測定基準を策定

「弊社が測定に注力するようになって以来、不具合による問い合わせは一切なくなりました。またユーサン精密の測定なら大丈夫だとお墨付きをいただけるようにもなりました。」と堀田氏が語る通り、ユーサン精密の測定は、多くのクライアントから高い評価を博している。高精度な測定を実現するために、基準機を作る事で測定結果の機差をなくしたり、協業メーカーも含めて測定機をカールツァイス製で統一するなど、様々な試みを行っていることが、その秘訣のようだ。
「弊社では測定の基準機としてZEISS PRISMOを採用しており、他の測定機はすべて、この基準機と寸法誤差がないように連携、調整しています。どの測定機で測っても同じ寸法、正しい寸法が出るように落とし込んでいるのです。」(岡氏)
「弊社が音頭を取る形で、協業メーカー6社の測定機をカールツァイス製で揃えていただくと共に、基準機による調整も行いました。そうすることで、工場対工場、会社対会社の間での測定誤差もなくなり、協業メーカーとの意思の疎通もやりやすくなりました。そのお陰もあって、より高品質な製品をどこのメーカーであろうとも同じ精度で作り上げ、その保証ができると実感しています。」(西田氏)

カールツァイス製品で揃えられた測定室
METROTOMを用いたCTスキャンの様子

CTスキャンの様子

今後の展望

将来的には測定の請負事業も視野に

ユーサン精密では現在、EV化を始めとする時代の変化に対応出来るような製造現場作り、測定現場作りに取り組んでいる。また将来的には、その高い測定技術と、多彩な設備を活かして、測定の請負業務への挑戦も想定しているとのこと。そのために同社では、さらなる技術向上を目指して研鑽を重ねている。カールツァイスに期待することを伺った際の返答からも、その想いの強さは伺える。
「加工技術や測定技術を、もっともっと磨いていくことで、会社としての新たな可能性が見えてくると考えています。そうした技術研鑽に関わるような展示会や勉強会、セミナーなどをカールツァイスさんが開催された際には、ぜひ参加させていただきたいと思っています。」(堀田氏)
「測定の世界はどんどん進化していっていますが、常にその進化を追い続けるのは大変です。これからグローバルで新しい技術や情報が発信されたり、ソフトウェアに新機能が追加された際は、ぜひカールツァイスさんの方からも積極的にご紹介やご提案をいただけるとありがたいです。」(山本氏)

ユーサン精密株式会社について

ものづくりの第一歩とも言える"金型"を、試作成形から量産型評価、またプレス成形、特殊表面処理加工まで一貫した生産体制で請け負っている。第二工場で生産しているのは、主にエンジンなどの液漏れを防ぐ"ガスケット"と呼ばれるシール材を作るための金型。この金型の生産を通して、ユーサン精密は約40年に亘って、社会インフラである自動車業界を支え続けている。
操業 :1982年7月
代表者 :山本 直行
工場 : 本部/第一工場:岡山県加賀郡吉備中央
町下加茂1825、第二工場:岡山県加賀
郡吉備中央町下加茂1075-3
資本金 :1,500万円
従業員数 :319名

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