ZKW社

ZEISS METROTOM 活用事例

ZKW Lighting Systems社は、自動車業界向けに、イノベーティブで高品質な照明システムを開発、製造しています。しかし、扱う素材が新しいものになり、デザインが複雑になり、求められる公差が厳しくなってくると、従来の計測機器ではその限界に突き当たります。ZEISS METROTOMの2つの計測用X線CT装置は、そんな状況に対してまったく違ったアプローチを可能にします。測定・解析用ソフトウェアGOM Volume Inspect Proと組み合わせることによって、非破壊測定および点検を行い、詳細な結果を迅速に提供 することができます。これによって、製品開発の時間が短縮され、製造工程に安定したプロセスが確立されます。

完全な視界: プレミアム・ヘッドライトの品質保証

「200メートル先で右折して、カルワー通りに入ります。」光りの矢印が路上に投影され、ナビゲーションシステムからの情報が、視覚的に強調されます。長い一日の営みを終えて、夜、家路を急いでいるとき、この機能が与えてくれる安心はとてもありがたいものだ、とドライバーは思うことでしょう。その後すぐ、路上に雪の結晶のマークが現れたら、これは凍結の危険を知らせてくれる合図です。「ああ、冬タイヤに替えておいて良かった!」とドライバーは思うことでしょう。そして、「もっとゆっくり走ることにしよう」とも思うでしょう。そしてさらに、暗闇の中を、脇道を歩いていた歩行者が突然、今ドライバーが走行している道に向かって歩いてきました。「もっとスピードを落として、歩行者に先に渡ってもらおう。」ドライバーはボタンを押します。するとフロントヘッドライトが路上に光りの横断歩道を投影します。これで、歩行者は、道路を安全に横断できるということが判ります。今日の自動車のドライブテクノロジーは、スマートになっただけではありません。このような機能によって、道路を行き交う人々は、文字通り明るい未来を楽しみにすることができるのです。ZKW Lighting Systems社は、このようなことを実現するために、全力を捧げて取り組んでいるのです。低地オーストリア地方のヴィーゼルブルクにある本社と、そして世界各地で、同社はこのようなイノベーティブで高品質な、ヘッドライト、リヤライト、およびフォグライトを製造しています。ここまでの例で説明されているように、視界が悪いときにHD投影技術を用いて安全性を高めることが、照明システムのスペシャリストであるZKWグループのコアビジネスとなっています。同社の主要顧客は、自動車、商用車、オートバイなどの優良メーカーであり、ZKW社のソリューションをそのトップモデルに組み込んでいます。

しかし、これらのメーカーは、ZKW社のイノベーティブな照明コンポーネントの品質と信頼性に、多大な要求を課してきます。ZKW Lighting Systems社の品質管理システムは、これまで従来の測定テクノロジーを用いており、すでにその限界に達していました。そこで、同社は2つの計測用X線CT装置ZEISS METROTOM導入しました。これらは、コンポーネント全体を見切れることなく撮像できるもので、ひとつのシステムは製造工程に設置され量産品に関する点検を行い、もうひとつは測定ラボに設置され、開発業務での特殊測定に用いられています。そのもたらす結果は、極めて説得力に富むものです。「非破壊測定によって、コンポーネントのアッセンブリを測定できるようになりました。これまでには取得することのできなかった、内部の様子が明らかになるのです。」と、ZKW Lighting Systems社試験システム開発責任者であるベルンハルト・フォークラウアー氏は説明します。「また、試験結果が極めて迅速に得られるので、開発に要する時間が短縮されますし、何らかの不安定要素がプロセスに見つかったときにもこれまでよりも迅速に反応することができます。」

現代のヘッドライト: 単なる光源からHDプロジェクターへ

ヘッドライトとリヤライトは、2つの顔を持っています。ひとつは光源としての顔であり、他のドライバーや道路を使用する人たちにその存在を知らせます。もうひとつの顔は、車両の外観的特性を決定するものとしての顔です。そこを踏まえると、これまでの数十年間、その開発に多大な努力が払われてきたことについて、何の不思議もありません。それと同時に、コンポーネントの複雑さも増大しました。「これまで、ヘッドライトに使われる部品の数は、100ないし多くて150ぐらいでした。今日では、300以上もの部品が使われています。」とベルンハルト・フォークラウアー氏は言います。「さらに、これまでは1つのレンズでこと足りていましたが、今日では高精度なHD投影を行うためのさまざまなレンズを備えた対物レンズが用いられています。これらは正確に位置決めしなければならないものです。」さらに、シリコンなどの光学部品向けの新しい素材を用いることで、製造工程と品質管理の両方に対して、新しい需要が生まれます。そうして、測定公差は日を追うごとにどんどん厳しくなってゆくのです。「かつては、100分の1ミリメートル単位で計算すれば十分でしたが、今日では私たちのHDレンズは1000分の1ミリメートル単位の精度が求められています」と、ベルンハルト・フォークラウアー氏は言います。「求められる照明結果を得るためには、距離および光軸を正しいものにし、傾きや曲がりが起こらないようにすることが必要です。」今日の自動車ドライバーそしてその他の道路使用者は、このような機能、すなわち眩しくないハイビーム照明や、走行標識を夜間に極めて正確に照明できる機能などからの恩恵をすでに享受しています。このような機能がすでに開発されていると言うことは、すなわち、品質管理の観点から、ZKW Lighting Systems社も新しい道を歩んでゆく必要があるということを意味します。その理由は、照明モジュールが大変複雑になったことと、シリコンのような新しい材料が、座標測定システムや光学式スキャナーなどでデータを取得しにくいこと等です。

ベルンハルト・フォークラウアー ZKW Lighting Systems社試験システム 開発責任者

直感的な使いやすさを重視し、ハードウェアとソフトウェアがうまく連動していることが、ZEISSに決めた決め手でした。

組み立てた後でなければ見えてこない欠陥

ベルンハルト・フォークラウアー氏は、多くのヘッドライトで用いられている照明モジュールを手に取り、これがどのように組み立てられているかを説明してくれました。モジュールの照明には、表面にマイクロ構造を持つレンズがあります。これが均質な明暗遷移を実現するために光を分散させます。この後ろには、レンズホルダーと84個の発光ダイオードを備えた光源があります。これらは回路基板によって個別に制御され、明確に定義された光がシリコン光導体を通してレンズに導かれます。こうして、狙い通りのフェイドアウトシナリオが実現されます。金属製の冷却素子とファンを使って温度を調節します。「重要なポイントは、組み立てられてアッセンブリとなってからコンポーネントを点検しなければならないということです。そうしないと、いくつかのエラー源については、それがあることすら特定できないからです」と、フォークラウアー氏は説明します。「私たちの座標測定機と光学式スキャナーでは、もちろん、これはできません。」検証プロセス中、ZKW社では、後に起こり得る損傷を回避するために、光学部品がどのように取り付けられたかに、特別な注意を払っています。例えば、発光ダイオードによる熱負荷によってレンズホルダーとレンズに摩耗が発生したと言うことが一度あったということです。「私たちがもし解体された状態でのみ個別のコンポーネントを点検していたら、これを特定することができなかったでしょう」と、フォークラウアー氏は強い調子で言います。しかし、このような内部の状態を知ることは、ZKW Lighting Systems社が、安定した生産プロセスを確保し、顧客が期待する最高の品質を提供できるようにするためには、たいへん重要です。

ZEISS METROTOMが隠された部分を明らかに

ZKW Lighting ystems社の測定ラボはそのため、計測用X線CT装置ZEISS METROTOM 1500を、各種座標測定機および自動光学式測定システムと並行して使用しています。ZEISS METROTOM 800も設置されています。ZKW社は、組み立て済みモジュールやヘッドライトの全体を点検および測定するのに、これまでも長い間X線テクノロジーを用いてはいましたが、常に外部試験機関に依頼していました。「ただし、3週間ないし4週間のリードタイムがありました」と、ベルンハルト・フォークライアー氏は説明します。「これはもちろん長すぎで、私たちが持っている効率性に対する考え方と一致するものではありませんでした。自己所有のデバイスを用いることで、最終結果がとても早く得られるようになり、開発にかける貴重な時間を節約することができ、さまざまなことに対する反応も大変早くなりました。これは、時間と同様、製造コストの削減にも繋がります。」500Wを用いる高パフォーマンスと、3Kディテクター(ZEISS METROTOM 1500使用の場合)の高解像度によって、迅速な結果提供と鮮明な画像が担保されます。銅やアルミニウムなどの異なった材料、あるいは厚さの異なる種類のプラスチックを用いた複雑なデザインのものでも、CT撮像ならこれらすべてを取り扱うことができます。「一方では、さまざまなフィルター設定と照明設定のおかげで、他方では、多くのことを後処理でも実行することができるおかげで、どんなことでも上手く行うことができるのです」と、ZKW Lighting Systems社測定ラボチームリーダーのマルティン・ヤーニシュ氏は説明します。「アーチファクトの修正でも、散乱光線の修正でも、ソフトウェアは最適な方法で結果を提供するための、多くの方法を備えています。」CTシステムの高パフォーマンスのおかげで、ZKW Lighting Systems社は、ヘッドライト全体をスキャンするだけではなく、20以上もの部品を同時にスキャンすることもできます。これは、大きな利点です。

パワフルなハードウェアと直観的なソフトウェアによる納得 のパッケージ

ZEISS METROTOMの導入を決めたのは、ハードウェアがパワフルなことだけではなく、ソフトウェアもまた重要な基準でした。GOM Volume Inspectを使って結果の分析を行います。ZKW Lighting Systems社の社員はすでに、光学式測定デバイスであるGOM ATOS ScanBoxの使用経験がありました。ZEISS PiWebにすべての結果を記録しています。「ハードウェアとソフトウェア間のスムーズな連携は私たちにとって大きな要因でした。というのも、GOMソフトウェアは非常に使いやすく、直観的でどこに何があるかが見つけやすい機能性を備えた、視覚的に明確なインタフェースを提供するからです」と、マルティン・ヤーニシュ氏は強調します。「これは、私たちにとっては、機能習得のためのトレーニングの手間が大きく削減されると言うことを意味します。このソフトウェアは、いつも使いやすく、今まで何の問題もありませんでした。」ベルンハルト・フォークライアー氏がこれについて次の様に言います。「良質な、直観的な使いやすさに焦点が当てられていて、ハードウェアとソフトウェアが大変上手く連携しています。これがZEISSに決めた理由です。」ソフトウェアそのものに関すれば、ZKW Lighting Systems社では、主としてコンポーネントのアセンブリの点検を行うために、視覚的ボリューム点検を実行する機能を活用しています。3Dボリュームと2D断面によって、シリコン光導体が正しい位置に入っているかが判ります。

形状と位置の検証を含む、コンポーネントの測定・解析は、同様にGOM Volume Inspectですべて行われます。コンポーネントの内部のフライスルービデオとPDF測定レポートは、ツール開発部門の社員と定期的に共有されるため、どのような最適化が必要であるかを共同で決定することができます。測定ラボが行った点検の結果はすべてZEISS PiWebに送られ、それからすべてのシステムに組み込まれます。配送、サービス、そしてシステムのハードなオペレーションに対する信頼性も、ZKW Lighting Systems社にとって、ZEISS製品を採用することの重要な決定要因でした。「私たちはこれまでに、ZEISS社とは沢山の良い経験を積み重ねてきています。ZEISS社は専門性のある優良なサービスを提供してくれるパートナーです。約束したことは必ず守ってくれる、常に信頼するに足りるパートナーです」と、ベルンハルト・フォークライアー氏は言います。ZEISSもまた、ZKW Lighting Systems社の変わらぬパートナーであり続けます。
高解像度で眩しくない、未来への道を照らし出すために。

ZKWについて

ZKWグループは、革新的なプレミアム照明システムおよびエレクトロニクスを製造しています。システム・サプライヤーとして、ZKWは自動車業界にとって世界有数の戦略的パートナーです。グループはオーストリアを拠点とし、ヨーロッパ、アメリカ、アジアに約9,700人の従業員を擁する。
 

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