医療従事者による治療説明

レーザー視力矯正へのFAQ

患者からの質問に対する回答例

レーザー視力矯正に関しては、患者から多くの質問が寄せられます。このサイトでは一般的な情報を網羅し、よくある質問にお答えします。さらに詳しい情報や、個別の症例や適応に関する具体的な質問については、眼科医は患者と話し合いながら説明します。

一般的なレーザー視力矯正に関するFAQ

患者からのよくある質問とそれに対する回答例
  • 視力(屈折度)が安定している(通常18歳以上)、視力矯正のためにメガネやコンタクトレンズを使用している、そして健康で妊娠していない場合、レーザー視力矯正の対象となる可能性があります2。手術が患者に適しているかどうかは、眼科医が判断します。

  • 通常は、同日の手術で両目の治療を行うことが可能2ですが、患者さまの状態によって眼科医が判断を行います。

  • Femto-LASIK手術では、別のフェムトセカンドレーザーを使用して角膜に薄いフラップ*を作ります。フラップ作成の際に、少し圧迫感や不快感を感じることがあります3
    SMILEというレンチクル摘出術では、多少の違和感を感じることがありますが、治療前後に使用される麻酔点眼薬により、ほとんど痛みを感じることはありません4

    *「フラップ」とは、レーシック手術において角膜表面を薄くスライスして作る蓋のこと

  • 通常、レーザー視力矯正手術が行われた角膜自体はその後変わることはありません。しかし、加齢に伴って目の度数が変化することがあり5、その場合は再びメガネやコンタクトレンズの装着、追加手術の検討が必要になる場合があります。

  • これらのレーザー視力矯正にはふたつの大きな違いがあります。

    ひとつ目の違いは手術方法です。LASEK(ラゼック)では角膜の内層を露出します。医師はアルコール溶液を使用してゆるめた角膜上皮を一時的に避けておきます。その後、眼科手術用の紫外線レーザー(エキシマレーザー)を用いて、角膜組織を削ります。LASEK(ラゼック)ではこの処置を角膜の表層で行います。一方、LASIK(レーシック)では機械装置またはレーザーでフラップ*を作成し、手術を行うためにめくりあげて、手術が終了したらフラップを元の位置に戻します。LASIK(レーシック)で削る角膜組織は、角膜の下層にある実質になります。

    ふたつ目の違いは回復期間と患者の感じ方です。通常、LASIK(レーシック)のほうが回復期間が短く、痛みも少ないことが特徴です。

    *「フラップ」とは、レーシック手術において角膜表面を薄くスライスして作る蓋のこと

SMILEに関するFAQ

患者からのよくある質問とそれに対する回答例
  • SMILEは近視、乱視、またはその両方の矯正を目的としていますが、現在のところ遠視の矯正には使用できません。

    屈折異常の性質や程度、角膜の曲率や厚さも重要な要素です。

    職業や趣味も影響を与えます。激しいコンタクトスポーツに頻繁に参加する場合、SMILEでの治療を勧められることがあります6

    従来のレーザー視力矯正法と同様に、精密な眼科検査を受けてから適応の可否を確認する必要があります。

    医師が患者のニーズに合わせて最適な方法を選択します。

  • 担当の眼科医が患者に手術前の準備リストを提供します。コンタクトレンズの着用を止めるタイミング、手術当日の食事・服装、術後に処方された点眼薬を使用するタイミングなど、様々な情報が記載されています。手術後は患者一人で帰宅せず、自宅までの付き添いが必要です。

  • 手術後は、目をこすったり触ったりしないようにします。治療後、眼科医によっては、睡眠時に保護用アイシールドの着用を勧める場合があります。

  • SMILEによる手術後、多くの患者は視力の改善を実感し、その後数日間でさらに回復するケースが一般的です。

    ただし、手術直後は車の運転ができないため、自宅までの付き添いが必要です。患者の状況に応じて担当医が判断します。

  • 手術には、レーザーシステムとソフトウェアが使われます。レーザーシステムでは、SMILE(SMall Incision Lenticle Extraction)という技術でレンチクル*を摘出します。このレーザーシステムでは、1フェムト秒は10-15秒、すなわち1000兆分の1秒の速さでレーザー照射を行います。レーザーパルスは瞬時、精密かつ愛護的に光エネルギーを供給します。

    フェムトセカンドレーザーシステムには、手術が効果的に行えるように顕微鏡、デジタルカメラ、インタラクティブタッチスクリーン、統合照明が備わっています。

    レンチクル:円盤状の角膜片

     

  • すべての手術には副作用が生じる可能性がありますが、SMILEによる視力矯正は従来よりも低侵襲な治療7を行えるように設計されています。目の角膜に入れる切開は従来のレーザー視力矯正よりも小さいため、角膜の表面が受ける影響も少なくなります8

    但し、以下のような副作用が起こりうることを知っておく必要があります2

    • 角膜、網膜など眼球への障害
    • 視覚異常
    • 視力低下
    • 目の痛み

    一部の患者では視力回復が遅れるなど、一時的な事象が生じる可能性もあります。

  • SMILEによる手術後、多くの患者は視力の改善を実感し、数日以内にさらに回復することが一般的です。術後の薬の使用や制限については、担当医師の指示に従います。回復期間中は目をこすらないようにします。また、目が回復する過程で異物感や視界のぼやけなどの軽い不快感を感じることがあります。

    メイクや仕事などの日常活動の再開については、医師がアドバイスを行います。

  • PRK/LASEK手術は回復に時間がかかり、最終的な視力が安定するまでに多少の不快感を感じることがあります。また、視力の安定には時間がかかります。

  • SMILEと呼ばれるレンチクル摘出術はレーザー視力矯正手術のひとつであり、海外においては2011年から行われています。この技術はレーザー屈折矯正に関連する眼科学会においても認識されています2

    SMILE手術を受ける患者数は増加しており、すでに2,500人以上の外科医が1000万眼を治療しています9(自社データ:2024年11月時点)

  • フェムトセカンドレーザー技術は臨床的に証明されており、Femto-LASIKや白内障手術に使用されています。SMILEは、このレーザー技術を使用した視力矯正の技術です。

    2007年から管理下での臨床試験で行われ、2011年から商業的に提供されています。最初のSMILE治療を受けた患者への経過観察は10年以上にわたります。現在、世界80ヶ国以上でSMILEが実施されています。

LASIKに関するFAQ

患者からのよくある質問とそれに対する回答例
  • Femto-LASIKと従来のLASIKの違いは、角膜にフラップ*を作成する方法にあります。Femto-LASIKではレーザーで切開を行ってフラップを作成します。従来のLASIKでは、マイクロケラトーム(機械装置)を使って医師が手動で角膜を切開します。

    レーザーでは機械装置による手動よりも、精密に切開を行ってフラップを作成することが期待できます。どちらの方法が臨床的に優れているかについては医師の間では意見が分かれますが、どちらの方法を選ぶかは患者の状態により医師が判断を行います。

    *「フラップ」とは、レーシック手術において角膜表面を薄くスライスして作る蓋のこと

  • レーザー視力矯正手術の前後には、患者が眼科医の指示に従うことが重要です。処方された薬や目薬は必ず指示通りに使用します。副作用が全くないとは言い切れませんが、医師の指示に従うことで、合併症が起こる可能性を抑えることができます。ただし、すべての指示を守っても、軽い違和感(かゆみ、涙、焼けるような感覚など)を感じる場合があります。

  • LASIKの手術を受けたすべての人が、視力1.0になれるわけではありません。しかし、2009年のLASIKに関する世界的なレビュー10では、1995年から2003年の間にLASIKの手術を受けた患者の95%以上が手術結果に満足していると報告されています。

  • レーザー視力矯正を受ける理由はメガネへの依存度を減らすことですが、特定の活動(読書など)には引き続きメガネが必要になることがあります。強度の近視がある方は、LASIKで視力を完全に矯正できずに遠くのものが見づらいことがあります。また、誰もが最終的には「老眼」と呼ばれる状態になります。これは近くの物が徐々に見えにくくなる現象で、加齢に伴う自然な変化です。レーザー視力矯正はこのプロセスを止めることも遅らせることもありません。近くのものに焦点が合いづらいと感じ始めた方は眼科医への相談が推奨されます。眼科医はモノビジョン手術を提案したり、単に老眼鏡の着用を勧めることもあります。

  • 手術後、夜間に運転していると、ヘッドライトのまぶしさを感じたり、街灯の周りにハロー(光の輪)が見えたりすることがあります。これは一般的な副作用であるため、症状が治まるまで数日間運転を避けることを検討したほうが良いかもしれません。

  • 手術は通常約30分で終了し、1日または2日ほどで日常生活に戻ることがほとんどです。回復期間は患者によって異なりますが、フラップ*は数日以内に安定します。手術後、視力が安定するまで数日かかることがあります。医師は通常、手術の翌日と1ヶ月後に経過観察の検査を行い、回復状況を確認します。

    *「フラップ」とは、レーシック手術において角膜表面を薄くスライスして作る蓋のこと

  • 回復期間は患者によって異なりますが、回復を早めるために術後の注意点がいくつかあります。例えば、目をこすらないことや、埃っぽい環境を避けることが重要です。最も大切なのは、医師の指示に従うことです。指示に従って、目薬やその他の薬を使用したり、特定の場合にアイシールドを着用することが求められます。また、回復を早く安全に進めるために、薬や目薬は指示通りに使用することが重要です。

  • 乱視がLASIKで治療できるかどうかを疑問に思っている方もいますが、多くの場合、乱視でも治療が行われます。乱視はLASIKの適用外ではなく、実際にはLASIKは長年にわたり多くの乱視の治療に行われています。

  • LASIKは角膜の形状を調整する手術であるため、稀ではありますが、重度の乱視には適していません。また、円錐角膜やペルーシド角膜変性など、通常は稀な病状による乱視もレーザー視力矯正手術の適用外です。

  • レーザー視力矯正の総費用は様々な要因によって決まります。LASIKによる乱視矯正を視力への長期的な投資と捉えている方も多くいます。LASIKによってメガネやコンタクトレンズの定期購入費用を削減できるため、長期的に手術費用を回収できるという考え方もあります。

  • ブレードレスLASIKは、手術中に2種類のレーザーを使用する手法です。1つはフェムトセカンドレーザーで角膜フラップを作り、もう1つはエキシマレーザーで角膜形状を矯正します。ブレードレスLASIKとは異なり、従来のLASIKではフラップをマイクロケラトームという振動する刃を使って作成していました。

  • フラップを作らないLASIKの代替法として、SMILEによるレンチクル摘出術があります。この手術ではフラップを作らず、角膜に4 mmほどの小さな切開を入れるため、角膜組織が保存され、眼全体の強度が維持されます11。SMILEは、乱視の有無にかかわらず近視の矯正を行います5

  • LASIKが老眼を引き起こすことはありません。また、LASIKによって老眼が悪化したり、その進行が早まることもありません。老眼は加齢による自然な現象であり、通常は40代頃から症状に気づくことがほとんどです。若い頃にレーザー視力矯正手術を受けていたかどうかに関わらず、老眼は誰にでも起こり得ます。


  • 1

    このサイトは医療従事者に対しての基本的な治療に関する情報提供を目的としており、患者にとって医師による診断や医師との相談の代替となるものではありません。屈折矯正手術の際に考えられるリスク、副作用、制約事項については、必ず患者は医師との相談を通じて確認します。治療の選択肢は国によって承認状況や提供状況が異なり、承認内容や使用方法の説明も国ごとに異なる場合があります。

  • 2

    日本眼科学会. 屈折矯正手術のガイドライン(第8版). 日眼会誌. 2024;128(2):135-138. https://www.nichigan.or.jp/Portals/0/resources/member/guideline/refractivesurgery_8.pdf

  • 3

    FDA. “What Should I Expect before, during, and after Surgery?” LASIK , https://www.fda.gov/medical-devices/lasik/what-should-i-expect-during-and-after-surgery

  • 4

    Ganesh S, Brar S, Swamy DT. Comparison of Clinical Outcomes and Patient Satisfaction Following SMILE Performed With the VisuMax 800 in One Eye and VisuMax 500 in the Contralateral Eye. J Refract Surg. 2025 Jan;41(1):e14-e21. doi: 10.3928/1081597X-20241113-02. Epub 2025 Jan 1. PMID: 39783817. Original text: "Therefore, the VisuMax 800, with a 2-MHz pulse repetition rate and average lenticule creation time of 8 to 9 seconds, has a definite advantage over the VisuMax 500, which has a 500-KHz frequency and average lenticule creation time of 25 to 27 seconds". https://journals.healio.com/doi/epdf/10.3928/1081597X-20241113-02

  • 5

    Refractive Surgery Council.“Refractive Surgery Council Dispels Myth: Lasik Wears off over Time.” 20 Sept. 2022. Original texgt: “It’s important to understand that any vision correction procedure is permanent and does not wear off over time. However, your eyes, like the rest of your body, will change as you age.” Available from: https://americanrefractivesurgerycouncil.org/press-room/refractive-surgery-council-dispels-myth-lasik-wears-off-over-time/

  • 6

    Titiyal JS, Kaur M, Shaikh F, Gagrani M, Brar AS, Rathi A. Small incision lenticule extraction (SMILE) techniques: patient selection and perspectives. Clin Ophthalmol. 2018 Sep 5;12:1685-1699. doi: 10.2147/OPTH.S157172. PMID: 30233132; PMCID: PMC6134409.Original text: “The absence of a flap and related complications makes SMILE a viable option for patients involved in contact sports or at risk of flap dislodgement.” Available from https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC6134409/

  • 7

    Wan KH, Wang XY, Lai KHW, Alio JL, Ang M, Chan C, Chan TCY, Cheng GPM, Elsheikh A, Hjortdal J, Huang G, Jhanji V, Mehta JS, Rao SK, Sato M, Sekundo W, Sharma N, Shetty R, Wang Y, Xiao Y, Yang Y, Zhai C, Zhang F, Zhou X, Lam DSC. Controversies, consensuses and guidelines on Small Incision Lenticule Extraction (SMILE) by the Academy of Asia-Pacific Professors of Ophthalmology (AAPPO) and the Asia-Pacific Myopia Society (APMS). Asia Pac J Ophthalmol (Phila). 2025 Jul-Aug;14(4):100221. doi: 10.1016/j.apjo.2025.100221. Epub 2025 Jun 28. Erratum in: Asia Pac J Ophthalmol (Phila). 2025 Jul-Aug;14(4):100226. doi: 10.1016/j.apjo.2025.100226. PMID: 40588075. https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S216209892500088X?via%3Dihub

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