ボクセル(Voxel)
ボクセルとは?X線CTでの役割を解説
ボクセル(Voxel)とは何か、そしてなぜX線CT装置で重要なのか、日々の生活で目にする写真や画像におけるピクセル(画素)と同様の概念を三次元に拡張したものです。ボクセル(Voxel)とは、「Volume(体積)を持ったPixel(ピクセル)」のことで、3次元空間における最小単位の体積要素のことを意味しています。
X線CT装置におけるボクセルの役割
X線CT装置で得られる三次元データは、グレー値(グレーバリュー)という特定の情報を持つボクセル、小さな立方体の集合体から構成されます(下図参照)。ピクセルが集合して色の情報で二次元画像を形成するのと同じように、ボクセルに割り当てられたグレー値は、製品データを白黒のグラデーションで表現し、製品の内部構造を詳細に視覚化します。
ピクセル
ボクセル
グレー値分布で製品を表現
CT値とは?医療分野での使用例
CT値とは、医療分野でX線CT画像における各ピクセルの値を表すために使用される用語で、ハウンズフィールド単位(HU)で表されます。この値は、物質がX線をどの程度吸収するかを示し、例えば、空気は-1000HU、水は0HUと定義されています。これにより、医療分野では組織や器官の密度差を精密に観察することができます。
製造業におけるボクセルの活用
製造業では、CT値を直接使用することは少ないものの、同様の原理で、先ほど紹介した物質の密度や構成を示すグレー値を用いて、製品の内部構造や欠陥を非破壊で検査します。このグレー値は、X線の減衰量に基づいており、材質がX線をどれだけ透過するかによって異なります。たとえば、空気に相当する低い密度の材料は低いグレー値を示し、金属のような高密度の材料は高いグレー値を示します。
ボクセルサイズが重要な理由
ボクセルのサイズ、またはボクセルピッチは、三次元データの詳細度やCTスキャンの解像度に影響します。細かいボクセルほど精密な構造を捉えることが可能ですが、データ量の増加という課題もあります。
ボクセルの重要性
ボクセルは、X線CT装置によって得られる三次元データを理解し、解析する上で核心となる要素です。グレー値を通じて、製品の内部構造や材質の違いを詳細に観察し、品質保証や非破壊検査など、製造業における重要なプロセスに貢献します。