医療従事者による治療説明

一般的な副作用

手術リスクの低減

レーザー視力矯正は、屈折異常を治療するための臨床的に実証され、確立された方法です。しかし、他の医療処置と同様に、SMILEによるレンチクル摘出術もリスクや副作用が完全にないわけではありません2。手術前には、医師が健康状態の評価や視力検査を行い、リスクを最小限に抑えるよう努めます。しかし、起こり得る副作用について知っておくことが重要です。それにより、早期にそれらを認識し、眼科医と患者が相談することができます。患者が眼科手術を受けるかどうかを決める前に、治療のリスクについて眼科医が詳しく説明を行います。

数字で見るSMILE

知るべき事実
  • 1,000万眼

    SMILEはこれまでに1,000万眼の治療実績があります3

  • フラップ*なし

    SMILEは、角膜にフラップ*を作成せずに視力矯正を行います4

    *「フラップ」とは、レーシック手術において角膜表面を薄くスライスして作る蓋のこと

  • 30秒

    平均して、レーザー処置は30秒未満で完了します5

低矯正または過矯正

視力が完全に回復しないケース

すべての人がレーザー視力矯正で視力が完全に改善するわけではありません。視力の回復の程度は個人の状態によって異なります。屈折異常が残る可能性もあり、手術後もメガネやコンタクトレンズが必要な患者もいます。低矯正または過矯正が発生した場合は、追加の手術で残りの屈折異常を修正することもあります。

ドライアイ症候群

治療可能な一般的な副作用

目の乾きとかゆみは、レーザー視力矯正後に最もよく見られる2つの副作用です。幸いなことに、これらの症状はほとんどの患者で長く続くことはなく、人工涙液や他の治療法で簡単に対処できます。

また、SMILEは低侵襲で、LASIKと比較してドライアイが低減されるという利点もあります6

以前にドライアイ症候群と診断されたことがある患者は、手術前の診察時に眼科医が確認します。そうすることにより、レーザー視力矯正が適用可能かどうか、または他の治療法について患者はアドバイスを受けることができます。

視力に関する問題

手術後、視力は完全に回復する?

SMILEによる視力矯正後、視力は数週間以内に安定します。夜間の視力のぼやけや複視など、いくつかの目の不調は、多くの場合手術後数週間以内に解消します。しかし、慎重に準備をしても、手術後にすべての人が視力が完全に回復したと実感できるわけではありません。担当医が一部の残存する屈折異常を完全に矯正できない場合があり、その場合は引き続きメガネやコンタクトレンズが必要になることがあります。

視力に関する問題
  • 夜間視力

    夜間の視力や暗い環境での見え方に問題が生じることがあります。手術後数日間は、対向車のヘッドライトなど、光の周りに眩しい輝きやハロー(光の輪)が見えることがよくあります。そのような症状が現れた場合は、一時的に運転を控えることを検討してください。ほとんどの場合、術後すぐの段階では眩しさを感じますが、この症状は次第になくなります。

  • 複視(ダブルビジョン)

    ごく稀に、視界がかすんだり、物が二重に見えたりすることがあります。視界がぼやける症状は、強度近視だった患者によく見られる傾向があり、中には像が二重に見えたり、ゴーストイメージが現れると訴える人もいます。複視とは、1つの物体に焦点を合わせたときに2つのぼやけた像が見える状態を指します。これらの症状が現れた場合は、眼科医にご相談ください。

手術による合併症

起こり得るリスクの認識

あらゆる手術にはリスクが伴います。ここで説明する副作用は、すべてのレーザー視力矯正手術に共通するものです。しかし、SMILEによる視力矯正は、角膜に小切開を加えるだけの低侵襲手術でフラップ*を作る必要がないため、フラップ*に関連する合併症が生じる心配はありません4

*「フラップ」とは、レーシック手術において角膜表面を薄くスライスして作る蓋のこと

手術による合併症

感染症

どの手術にも言えることですが、術後に感染症が発生する可能性はゼロではありません。手術後は、感染症のリスクを最小限に抑えるために、処方された目薬を必ず使用します。目が赤くなったり痛みを感じたり、視力が低下した場合は、すぐに患者は眼科医に連絡することが重要です。感染症は早期に発見すれば治療可能ですが、適切な対応が遅れると深刻な障害を引き起こす恐れがあります。

角膜拡張症

稀ではありますが、術後期間にかかわらず、角膜拡張症という疾患が発生する可能性があります。角膜拡張症とは、角膜が徐々に薄くなり、眼球の前面が弱くなって膨らむ状態を指します。

視力を回復するために、メガネやコンタクトレンズを使用する必要がある場合や、重度の場合には追加の眼科手術を受ける必要がある場合があります。

手術による乱視への影響

SMILEによる乱視発生や悪化の可能性

レーザー視力矯正が乱視を引き起こしたり、既にある乱視を悪化させる可能性があると聞いたことがあるかもしれません。実際のところ、術後に乱視が生じる可能性は非常に低く、SMILEは乱視の矯正にも使用できます7

治療前に、眼科医が総合的な健康チェックを行い、全身の健康状態と目の状態を確認します。乱視がある場合は、眼科医と患者が手術について話し合い、起こり得る副作用について一緒に確認することができます。


  • 1

    このサイトは医療従事者に対しての基本的な治療に関する情報提供を目的としており、患者にとって医師による診断や医師との相談の代替となるものではありません。屈折矯正手術の際に考えられるリスク、副作用、制約事項については、必ず患者は医師との相談を通じて確認します。治療の選択肢は国によって承認状況や提供状況が異なり、承認内容や使用方法の説明も国ごとに異なる場合があります。

  • 2

    Cung HS, Tran LHT, Tran TN. Three-Month Outcomes of SMILE Pro with the VISUMAX 800 for Myopic Astigmatism in a Large Population. Clin Ophthalmol. 2025 Feb 7;19:417-425. doi: 10.2147/OPTH.S502915. PMID: 39935797; PMCID: PMC11812556. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11812556/ 

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    Ganesh S, Brar S, Bose S, Shah ML. Feasibility study of treatment of mixed astigmatism with small-incision lenticule extraction (SMILE) by using research software. Indian J Ophthalmol. 2024 Jul 1;72(7):1056-1063. doi: 10.4103/IJO.IJO_1273_23. Epub 2024 Jun 22. PMID: 38905464; PMCID: PMC11329817. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38905464/