医療従事者による治療説明

SMILE手術について

SMILEとはSMall Incision Lenticule Extractionの略であり、小切開からレンチクル(角膜切片)を摘出する手術です。この手術ではフェムトセカンドレーザーという精密なレーザーを照射して、光切断でレンチクル(角膜切片)を作り、それを抜き取ることで屈折矯正を行います。

視力を改善してメガネやコンタクトレンズの依存を減らしたい場合、SMILEというレンチクル摘出術が解決策となるかもしれません。ここではSMILE手術がどのように行われ、どのようにして視力を改善するかを説明します。

SMILEとは

SMILEというレンチクル摘出術は、海外で実績を積み重ねたレーザー屈折矯正手術です。すでに世界中の数百万人の人々が治療を受けています3。こちらをご覧ください。

SMILE手術のステップ

SMILEを使用したレーザー視力矯正手術の一般的なステップを紹介します。医師がこれらの手順を説明します。
  • ステップ1
    手術の準備

    手術開始前に、麻酔用の目薬で目を麻痺させます。手術中に目を開いたままにするため、開瞼器を装着します。コンタクトレンズを目に装着し、吸引によって目を安定させます。この際、わずかに患者は圧迫感を感じることがあります。

  • ステップ2
    SMILEによる角膜の再形成

    レーザーシステムで、SMILEテクノロジーによるレンチクル摘出を行います。フェムトセカンドレーザーを照射し、角膜内部にレンチクルと呼ばれる小さな円盤状の角膜切片と、角膜表面に4 mm程度の小切開を30秒未満で形成します4。レンチクルの大きさと形状は、屈折異常に合わせて正確に調整されます。

  • ステップ3
    レンチクルの摘出準備

    レーザーで形成した小切開から、レンチクルを摘出します。

  • ステップ4
    視力を矯正して、笑顔の毎日へ

    レンチクルを摘出することで角膜の形状が変わり、視力が矯正されます。小切開は目が治癒していくなかで閉じていきます。

  • ステップ5
    治癒と回復

    SMILEを受けた患者の中には、翌日には通常の日常生活に戻れる方もいます6。ただし、コンタクトスポーツやほこりや煙が多い環境など、リスクのある活動/場所は避けてください。手術の前後に、術後いつから特定の活動を再開できるかについて医師が説明を行います。

SMILEの特長

SMILEを選択する理由

SMILE手術は、乱視の有無にかかわらず、適応条件を満たした患者の近視を矯正します7。SMILE手術後、多くの患者は視力の改善を実感し、数日以内に回復することが一般的です。SMILEというレンチクル摘出術を選ぶ理由を説明します。

  • フラップ*を作成しない8

    SMILEは、フラップ*を作成せず、メスを使用しない低侵襲手術です。SMILEではレーザーで4 mm程度の小切開を形成します。

    *「フラップ」とは、レーシック手術において角膜表面を薄くスライスして作る蓋のこと

  • 乱視にも適応する技術7

    SMILEは、多くの場合、乱視の有無にかかわらず近視を矯正できる手術です。

  • 早期回復7

    SMILEでは、多くの場合、視力が数週間以内に安定します7。手術後に、いつから患者が望む活動が再開できるかについては、医師が判断します。

SMILEに関するよくある質問

  • SMILEによるレーザー視力矯正は、乱視の有無にかかわらず、近視をお持ちの方に適応しています。近視は遠くの物が、遠視は近くの物や文字がぼやけて見える原因となります。乱視は、角膜が丸ではなく楕円形(サッカーボールではなくラグビーボールのような形)になっているため、視界が歪んだりぼやけたりする原因となり、頭痛や目の疲れを引き起こすことがあります。

  • 担当の眼科医が患者に手術前の準備リストを提供します。コンタクトレンズの着用を止めるタイミング、手術当日の食事・服装、術後に処方された点眼薬を使用するタイミングなど、様々な情報が記載されています。手術後は患者一人で帰宅せず、ご自宅までどなたかに付き添いをしていただく必要があります。

  • 手術後は、目をこすったり触ったりしないようにしてください。治療後、眼科医によっては、睡眠時に保護用アイシールドの着用を勧める場合があります。

  • SMILEによる手術後、多くの患者はすぐに視力の改善を実感し、その後数日間でさらに良くなるケースが一般的です。

    ただし、手術後は車の運転ができないため、ご自宅まで送ってもらえる方を手配する必要があります。患者自身の状況に関する詳細については、担当医がご判断ください。


  • 1

    このサイトは医療従事者に対しての基本的な治療に関する情報提供を目的としており、患者にとって医師による診断や医師との相談の代替となるものではありません。屈折矯正手術の際に考えられるリスク、副作用、制約事項については、必ず患者は医師との相談を通じて確認します。治療の選択肢は国によって承認状況や提供状況が異なり、承認内容や使用方法の説明も国ごとに異なる場合があります。

  • 2

    日本眼科学会 (2023). SMILE|日本眼科学会による病気の解説. https://www.nichigan.or.jp/public/disease/treatment/item09.html

  • 3

    Zeiss. (2024). Zeiss at AAO 2024. Retrieved from https://www.zeiss.com/meditec-ag/en/media-news/press-releases/2024/zeiss-at-aao.html

  • 4

    Ganesh S, Brar S, Swamy DT. Comparison of Clinical Outcomes and Patient Satisfaction Following SMILE Performed With the VisuMax 800 in One Eye and VisuMax 500 in the Contralateral Eye. J Refract Surg. 2025 Jan;41(1):e14-e21. doi: 10.3928/1081597X-20241113-02. Epub 2025 Jan 1. PMID: 39783817. Original text: "Therefore, the VisuMax 800, with a 2-MHz pulse repetition rate and average lenticule creation time of 8 to 9 seconds, has a definite advantage over the VisuMax 500, which has a 500-KHz frequency and average lenticule creation time of 25 to 27 seconds". https://journals.healio.com/doi/epdf/10.3928/1081597X-20241113-02

  • 5

    Wan KH, Wang XY, Lai KHW, Alio JL, Ang M, Chan C, Chan TCY, Cheng GPM, Elsheikh A, Hjortdal J, Huang G, Jhanji V, Mehta JS, Rao SK, Sato M, Sekundo W, Sharma N, Shetty R, Wang Y, Xiao Y, Yang Y, Zhai C, Zhang F, Zhou X, Lam DSC. Controversies, consensuses and guidelines on Small Incision Lenticule Extraction (SMILE) by the Academy of Asia-Pacific Professors of Ophthalmology (AAPPO) and the Asia-Pacific Myopia Society (APMS). Asia Pac J Ophthalmol (Phila). 2025 Jul-Aug;14(4):100221. doi: 10.1016/j.apjo.2025.100221. Epub 2025 Jun 28. Erratum in: Asia Pac J Ophthalmol (Phila). 2025 Jul-Aug;14(4):100226. doi: 10.1016/j.apjo.2025.100226. PMID: 40588075. https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S216209892500088X?via%3Dihub

  • 6

    Liu T, Dan T, Luo Y. Small Incision Lenticule Extraction for Correction of Myopia and Myopic Astigmatism: First 24-Hour Outcomes. J Ophthalmol. 2017;2017:5824534. doi: 10.1155/2017/5824534. Epub 2017 Jun 7. PMID: 28680704; PMCID: PMC5478873.Original text: Some patients could even return to their jobs or have a physical examination on the same day of the surgery. Available from: https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC5478873/

  • 7

    Reinstein, D. Z., Archer, T. J., & Gobbe, M. (2014). Small incision lenticule extraction (SMILE) for myopia and myopic astigmatism: A review. Eye and Vision, 1(1), 3. https://doi.org/10.1186/s40662-014-0003-1

  • 8

    Moshirfar M, Somani SN, Patel BC. Small Incision Lenticule Extraction. [Internet]. In: StatPearls. Treasure Island (FL): StatPearls Publishing; 2025 Jan– [cited 2025 Sep 6]. Available from: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK549896/. PMID: 31751086. Original text: "Furthermore, the small incision of SMILE was theorized to reduce injury to the subbasal nerve plexus and avoid flap-related complications."